私見: 毒親戚、とんとんと達観できるほど人間できてない

 何度も書きかけては消してきた

言葉にするとあまりに醜くて

何度消しても、愚痴りたくなる

 

  こいつらに、こんな口の利き方されなきゃならない程、私たち親子はクズではない。

 怒りから睨みつけたい目を伏せる。

 叔母は怒り狂うと、人が見てないところで包丁を振り回した。

 「あの人達に、かかわってはいけない」

 母は繰り返す。

 そうだ、獣に、言葉は通じない。逃げるしかない。

 救いは、連れ子の母にあの一族の血は一滴も流れてない事だ。

 

 心の底から、醜い、下卑た人間だと軽蔑しているが、それが唯一の親戚だ。

 

 今でも許せないのは、かわいがってくれた祖母が癌で余命3か月だった時に、死に際に私は、本家の血筋でないから帰って来るなと最期に会わせてくれなかった叔母の言葉。

 「お前はこの家の人間じゃないから、飲ませる茶もなければ、座らせる座布団もない」

 

 自分の都合だけで、金が要るときや、東京で良い大学、会社でそこそこ働いきた姪っ子を自慢したい時だけ親戚に昇格される。私が都会から帰ると祖母が私ばかりかわいがり、自分が引き立たなくなるから、祖母の末期にも会わせてくれない叔母。

 

 本家は地主の家に生まれただけで、入る高校さえ県内になく遠い私学に通わざるえないようなオツムで、自分たちは優れていると、言葉のはしばしに自慢が始まる。

 母が、少ない年金から亡くなった弟の法事のたびに1万円送るが、3年たっても、香典返しの一度もない。夫が事業に失敗して高校を卒業しただけの専業主婦だった母が必死に働いた一万円と、親の不動産を継いだだけのボンボンの一万円は価値が全然違う。

(追記:

この間、突然、1回だけ、果物送ってきました。おいしかった、ありがとうね~~)

 

 「あんたは、家のためにならない」ボンボンの口癖だ。

 生前祖母が、ドン・キホーテ甥っ子に早く働けと諭され続けたセリフに違いない。言葉は厳しいが愛情があった祖母が今も懐かしい。

 「あの子は、人間がおかしい」

 亡くなって初めて、あの時祖母は、私と同じように愛情ゆえの憎しみのいらだちの中で、吐き出すした毒だと気づく。口うるさいばあ様が、今は本当に懐かしい。

 祖母にとっては、母は最も幸せだった時の、海軍で首席だった人の忘れ形見だ。

 敗戦後、2歳の子と3人の幼い兄弟を飢えさせないために嫁いだ農家で味わった、暴力魔と女にだらしない2番目の夫の子は、同じ母親からとは思えない程、似ていない。まして叔母の気質は、その暴力魔の夫に似ている。

 

 法事の席で叔母と一切口を利かない私に、親戚が東京では付き合いがないのかと聞いてきた。叔母は私が露骨に嫌うから、他人様の手前、何とか取り繕いたいのだ。

 「もう、30年、いや、40年一切つきあいはありません」

 驚いて、じゃ、ここではどうしているのかと親戚が私の顔をまじまじ見てきた。

「法事で会えば、こんにちわ。さようなら位はします」

 怒りの数々の仔細を話したかったが、吐き気がするほど下劣すぎた。田舎の法事で、他人に聞かれてはならないと、私は席を立った。

 

「二度と帰りません」

 別れの挨拶に、法事で居合わせた婆様たちがうなづいた。

「あれじゃねっていう人はいますよ」

 もう小さな田舎じゃ、見てないようで、他人様は人品を見抜いている。

 私は、さびれた田舎の駅へ急いだ。1時間に1本しかない電車を逃がしたくなかった。遠い駅まで慣れない暗い夜道を母は思いのほか楽しそうに歩く。

 「ま、もう、ここの家は潰されたんだ。昔は、ここに。。。」

 私は見知らぬ田舎町に、市役所が統合され、さびれた商店町に目立つ売地の看板さえ、雨風に長くさらされ汚れているのに驚いて何度も足を止めた。

 暗い夜道にたつ電灯が、痩せていく母の背中を浮かび上がらせた。

 かぼそい命が、だんだん、細くなっていく。愛した人々が、また一人。

 馬鹿、まだ生きている。

 私は、頭を急いで振った。田舎の道でつまづきそうになった。足より、心がまだ痛かった。

 

 「あれじゃねって、誰のどんな所業を見て、そう思ったのだろう」

 やっと来た電車に乗れ、車窓を見ながら、あれじゃねって、どういう意味だったろうか、何を知っているだろうか。母は、老婆の名を口にしながら、あの人達は古くから色々知っているからね、と繰り返した。

 

 怒りの電話をする気にもならない。

 情けない。多分、常識がないとか、そういう事か。

 ただ役に立たないとか、自分本位に考えっての事だろう。

 まさか、こちらが推察している以上に、本当にオツムが弱いのか。まさか。

 時に不安になる。

 でも、それが、唯一の親戚。

 怒り過ぎて、電話すると早口になってしまう。

 相手にすれば、私が性格異常って事になってる。

 自分でも、怒り方は半端なく激しいけどね。。。

 「返しなさい。義理は3分の1で良いから。お金じゃないの。人はそういう所を見ているの」相手が理解できるよう、ゆっくり言わなければならないとわかっていても、怒りで超早口にまくしたてて、電話を切った。あれから2年、はがき一枚来ない。

 何を考えているのだろうか。

 

 こうやって、怒りが渦巻いている間は、絶縁って、心の底ではできてない。

 まだ、私も心の底で、できの悪い甥っ子への未練や、

 子供のころ、マクドナルドを食べなさいってお小遣いをくれた叔母の夫には、血もつながってない人の晩年に不義理をして申し訳ないって気持ちはある。

 甥っ子にとっては、私が毒親戚だろうな。

 叔母が毒親戚っていうのも、それじゃ、私と同じで未練と憎しみがごちゃごちゃなのか。

 

 今日、辻仁成さんのTwitterが目に入った。

 さすが、とうちゃんしている男は、いろんな事をかみしめて、生きてきたに違いない。この文章を何度も何度も繰り返して、今夜はシャワーを浴びて寝るとしよう。

辻さんは、がんばってとうちゃんしているから、私みたいに、寂しい老後にはならないよ。きっと。

 

 

 

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