読書感想: 「震える岩」霊験お初捕物控 宮部みゆき 著

 時代物好きには、たまらない宮部みゆき様、安定のエンターテイメントです。読んで安心、結末でほっこり。夜一人で読んでいても、怖くて読めなくなるような事もありません。(内容もさることながら文庫なら)重くもないから通勤電車でも読めない事もありませんが、長編なので途中で読むのを止め、日があいても読み続けられる方にはお勧めします。

 女性が主役というのは時代物には珍しい。怪事件の記録をつけるのが趣味のお奉行様に、その不思議な力を認められた町娘お初。江戸におきる怪事件を密かに調べ、全くその力はないがお初の不思議な力を信じてくれる岡っ引きの兄、六蔵がしょっぴいてくれる。途中、主役のお初に身の危険が迫っても、そこは必ず誰かが助けてくれます。その代わり、他の誰かが痛い目にはあうのですが、、、、

 先に読んでしまったのが、全く救いのない現代物「模倣犯」だったので、そのあまりに簡単に女性を殺し埋める陰惨な愉快犯の心情を描写した惨めな読書感に打ちひしがれ、もう、宮部様の本は読まずにおこうかと思いました。どうしてもつい、また、宮部様の落語のような文体が恋しくて、手にとったのがこちらでした。大正解。

 リズムを刻むような文体。日本人好みの忠臣蔵をからめた時を超えたストーリ展開。そしてほっとできる結末。決して、読んだ後に、不愉快な思いはさせません。

 私には、この位のエンターテイメント時代物が、読んで安心です。

 

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新装版 震える岩 霊験お初捕物控 (講談社文庫)

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