読書感想: 「あんじゅう 三島屋変調百物語事続 」宮部みゆき 著

  ベストセラー作家、宮部みゆき作品の安定作品。美人MC三島屋のおちか様の元に、客が入れ替わり立ちかわり怪しいお話をして帰る、怪奇談、二冊目であります。もう、好きな方には、止められない、止まらない。寝不足必須です。

 今回は、お勝さん登場します。青野利一郎先生と、悪ガキ三人もでてきます。毎度のことながら、人物描写がいきいきと、まるで頭の中で人物がしゃべって動いているようじゃありませんか。名人芸の筆力です。

 一番、好きなのは、「暗獣」あんじゅうです。この世の物ではない物を、恐れ嫌うかと思いきや、老先生、加登新左衛門とその妻の交流です。読んでいて、こういう考え方もあるのかと、犬猫が好きではないので、不思議な気分になります。

 「吼える仏」の行然坊と、三人の悪ガキ、青野先生は、別の短編集「ばんば憑き」に収められている短編集、「討債鬼」でも描かれています。登場人物は一緒なのですが、おちかお嬢様が出てこないと、何とも、華やぎがございません。

 三島屋おちかさんに話しているのは、行然坊なのですが、それが流れ坊主で諸国を旅している間のお話です。私は、先に「ばんば憑き」を読んでしまっていたので、善人である坊主がどうも信用ならないで、最後まで、どうしても、筋が入ってこない。でも、おちかさんは純粋にお話を聞いているだけだから、全く疑わず。坊主も最後まで良い人でした。。。

 悪ガキ三人組の描き方も、女中のおしまと、お勝の描きわけもうまい。もう、女優が頭の中で自由に演じているから、描き分けれるのでしょう。以外に、宮部様の頭の中では、この人というモデルが動いていて実際に自由に話しているかも、と思う程、たくみな筆力です。

 おちかさん、17歳なの?江戸時代は平均寿命が50歳位だったから、早熟とは言え、、、、こんな出来た娘、そうそういないけど、婚期でいろいろ思い悩む年代の女性の割には、あっさりと欲なさすぎるのが、、、ふたご座とか、観念的な恋愛するタイプかしら?と宮部様の星座が知りたくなりました。

 そのあっさり、お行儀の良い美人MCおちか様の第二弾でございます。時代物好きには、読みだしたら、止まらないに決まっております。寝不足注意です。

 

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あんじゅう 三島屋変調百物語事続 (角川文庫)

あんじゅう 三島屋変調百物語事続 (角川文庫)

 

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