2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

小説: わんぐっどてぃんぐ 第一部 戦中編 第七章 空襲そして敗戦-2

花を焼け残った蔵に寝かしつけると、房に医者を呼びに行かせた。早くに手当をしなければならなかった。まずモンペが張り付いている燃えかすを肌からはがそうとすると、花は絶叫をあげた。 佐和はどうしたものかわからなかった。右もものやけども広範囲だった…

小説: わんぐっどていんぐ 第一部 戦中編 第七、八章

過去に発表してきた小説をまとめました。第七章は、下の3番目からです。 わんぐっどていんぐ 第一部 戦中編 第一、二、三章 わんぐっどていんぐ 第一部 戦中編 第四、五、六章 <第七章> <第八章> ksfavorite.hatenablog.com ksfavorite.hatenablog.com …

読書感想: 「幸福な王子・忠実な友達(The Devoted Friend)」オスカー・ワイルド 著

昨夜、「忠実な友達」を読んでしまい、今朝もまだ胸が痛い。 子供の頃、絶対読んだはずの童話だ。まさか、ここまで胸かきむしられるとは思わなかった。1880年発表の「幸福な王子」と他の童話の後の方に載っている物語だ。 発端は、穴ネズミの独身男が、友情…

読書感想: 「嵯峨野花譜」葉室 麟 著

固い文章です。一章ごとに読みやすいので、通勤電車15-20分でも読めます。 行間から、どれほどの情景、趣を読み取る事ができるか。余計な葉を落とされた生け花を愛でるように、読み手が行間をくみ取る本です。 実在の人物の、歴史に刻まれてないであろう側…

小説: わんぐっどてぃんぐ 第一部 戦中編 第七章 空襲そして敗戦

「花、花、しっかりしなさい。手を伸ばして、こっちに」 佐和は気を失った花を何とか引っ張り出そうと、必死に声を張り上げた。爆音がし、閃光の次に物が砕け散る。炎が上がる。煙が臭くて、呼吸が苦しい。手を伸ばす。後、もう少しの所に花の手があった。名…

私見: コロナ禍でデモ、お家に帰っておいで

思った通り、アメリカのデモはさらに混迷が深まっているようだ。他国の事ながら、子供の頃から憧れたアメリカの負の部分を見せつけられるのは、何とも気持ちが悪い。日本だってこの30年も経済は低迷し、東日本大震災だの、大雨、川決壊だの、熊本地震だの…

小説: わんぐっどてぃんぐ 第一部 戦中編 第六章 非情なジャングル-3

冷たい水が顔にかかり権太は気が付いた。見上げると炊事班長が水筒を手に立っていた。 「他の者と離れすぎては、まずい」 起きろと促されたが、権太は首を振った。 「俺はここで洋二郎様と一緒に死にます。ほおっておいてください。洋二郎様をこんな所で一人…

私見: 自叙伝のすすめ 戦中戦後の女の記憶

先日、尊敬する宮本輝様の「流転の海」第9部「野の春」を読んだ。その際、流行作家は、この父母の経験も血肉にして多くの作品を残したと実感した。 昨日、偶然にも母が亡くなった祖母の自分史を見つけたと手渡してきた。祖母が亡くなってもうすでに14年たつ…

小説: わんぐっどてぃんぐ 第一部 戦中編 第六章 非情なジャングル-2

洋二郎が前に短刀を置いた。 「できません」 権太は、がくんと膝をつくと、大声で喚いた。 「許してください。できません」 権太は洋二郎を止めようと、その肩にむしゃぶりついた。そばの上官達が権太を引きはがした。 「洋二郎様、そんな事いけません」 権…

読書感想: 「野の春」宮本輝 著

大好きな作家です。ベストセラー作家が生まれるには、「100年かかる」。 作中、5部か6部か父「熊吾」が、まだ作者である「伸仁」が子供だった折に語り聞かせた言葉からだ。「人を作るには100年かかる」。 そして、宮本輝という本人曰くストリーテー…

私見: コロナ禍でデモ、Come up with a better way.

子供の頃から英語が大好きだった。アメリカは憧れだった。お金を貯めては、貧乏旅行を繰り返し西海外サンフランシスコの路面電車に乗った時、ニューヨークでミュージカルを初めて見た時、本当に嬉しかった。 それがいつの間にか、アメリカの拝金主義が許せな…

私見: コロナ禍でデモ、常識が通じない世界

朝起きて、PCを立ち上げニュースを見て、固まってしまった。 アメリカの暴動が、欧州にまで飛び火してしまったそうだ。 コロナで死亡者数が人口の10万人あたり30人以上とアメリカのウィルス感染は恐怖に近いだろう。日本人はわずか0.8人程度で怯え、マ…