読書感想: 「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」宮部みゆき 著

  一度好きになったら、止められない。止まらない。睡眠不足必定の宮部みゆき様。

 その人気作、三島屋おちか様が人気女性MCで、毎回お客様が摩訶不思議なお話をする。その第三部でございます。寝不足間違いなしのため、連休、休日など睡眠時間が確保可能時に読まなければなりません。まちがっても、明日から仕事などの日には、いけません。

 さて、今回も、、、練りに練ったり、良品ばかりでごさいます。

 「泣き童子」哀れでございます。余韻がずんと胸に残ります。結末は、こうならなければ良いがと危ぶんでいたところに、急展開ですとんと落とす。最初の登場からして、上手。文章から魚の臭いがしてきそうです。

 一番考えさせられたのが、「まぐる笛」。題材が、宮部さんの長編「荒神」でも使われている人喰い怪物です。素人判断だと、長編の685ページの方が優れ、いつまでも胸に残る、、、と思います。しかし、違うんです。読後なお、なお、胸に切ない笛の音が残るのは、なんとわずか80ページの短編の方なのです。これは、美人MCのおちかさんの清涼剤が効いたのでしょうか。違うんです。

 同じ題材を同じ作家が扱っているのに、何が違うのか。胸におちる語り部、登場人物の素材、描き方、末路が違うのです。文体は落語のようなリズム感。これ、文学研究あるいは、ご自分で作家になりたい方は是非、二冊合わせて検討してください。

 私は、個人的に、「まぐる笛」が好きです。同じ化け物退治でも、読後感が違います。

 とにかく、間違いない読後感。時代物好きには、必読の書でございます。

 

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泣き童子 三島屋変調百物語参之続 (角川文庫)

泣き童子 三島屋変調百物語参之続 (角川文庫)