読書感想: 「あやし」宮部みゆき 著

  宮部みゆき作品にはあやしい魅力があり、それは睡眠不足という副作用をおこします。それゆえ、週末のみの禁断のお楽しみにせざるを得ません。

 ですが、活字中毒で、わかっていても、どうしても平日も読みたくて仕方なくなるお方に、この短編集をおすすめします。

 良品ぞろいでございます。よしんば、小一時間しかない通勤電車の中でも、読後感がいつまでも、心に残ります。江戸時代から人間の醜さは変わりません。現代の新聞に載っているような、事件の裏では現代でもこんな事が起こっているのではないか。。。

 全編、時代は江戸時代です。リズムは宮部みゆき独特の宮部節。もう、聞き出したら、止まらない。雨のしずくのように染みます。

 「陽牢」独白手法です。段々、怖くなります。お化けより、生きてる人間のほうがはるかに残酷で怖い。それが現代でも、ありそうだから、もっと怖い。

 「時雨鬼」こんな話、現代でもあります。本当はこの作者、もっと女のどろどろ書ける作家さんなのですが、あえて書かないだろうな。

 「梅の雨降る」純粋な子供だから、こんな事でこうなるのだろうと思いながらも、親が気がつかない事で、現代のひきこもりの子供の心のきっかけって、こんな事だったりするのだろうと思う。

 いや、ベストセラー作家って、やっぱり魅力があるから売れるのです。

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あやし (角川文庫)

あやし (角川文庫)

 

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