読書感想: 「<完本>初ものがたり 」宮部みゆき 著

 テレビドラマ化されている回向院の茂七親分の捕物帳。安定の宮部みゆき作品であります。巻頭に地図がついてます。今やタワーマンションが立ち並ぶ所が、本所深川だったのかと、改めてじっくり見ました。地図だけで二駅は乗り過ごせてしまいそうです。

 随所に女性作家らしい優しいまなざしが、男性作家にはない安らぎを与えます。思えば、捕物帳を女性目線で書くのは珍しい。でもアガサ・クリスティー等ミステリーの大家がいるのだから、不思議ではありません。

 「白魚の目」切ないです。昔は社会インフラがなかったのだから、悲惨な事もあったのだろうと胸が痛みます。最後の茂七親分の台詞が余韻を残します。

 「糸吉の恋」女性でないと書けないのではないでしょうか。この悲しみ。さりとて歌い上げず淡々と描いてます。感情に溺れないのも、宮部みゆき様の特徴です。

 一話が短いので、それがドラマには良かったのでしょう。ゆえ、通勤電車が1時間以上の方には向いています。私は、もちろん一度に読みましたので、寝不足です。

 やはり長い間ベストセラー作家になり続けられる人の文章は圧倒的に面白い。

  ところで、屋台のおやじの正体を描いた作品はどれですか。とても気になります。また寝不足になります。

 

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<完本>初ものがたり (PHP文芸文庫)

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