読書感想:宮部みゆき様 「理由」

宮部みゆき様の「理由」

 あまり残酷過ぎて怖くて読めない描写もなかったので、最後まで読めました。男女共に、ローンを組む前に、知っておいたほうが良い現実があります。

 点と点を結んで、事件を解明していきます。事件発生直後の目撃情報から、発見直後のタワーマンションの管理人の動き、居住者たちの思惑。そして、住宅ローンを組みローンを払えなくなった後の家族の崩壊。なぜ、殺人が起きてしまったか。マスコミの報道。

 全く顔も見た事もない普通の生活が、ほんのちょっと欲だして買ったマンションのローンから、崩れていく。

 感情移入できるべきメインの主役はいません。それで、一気読み、3日目。寝不足の極み、で寝落ちしました。

 モザイクを組み合わせていく筆致は、宮部様の他の作品にもありました。

 この作品には、自分のためには、他者を犠牲にしても何も感じない人々と、若さゆえの浅はかな若者。欲の塊のような、でも、現実にもいそうな人々。そして、そんなお人よし、あほか、自分の人生はどうするの。え、という位、今時こんな良い人存在するのかという人の、胸が痛くなるような運が悪かったとしか言いようのない人、両方が描かれています。そして、圧倒的に、良い人がどうして、こんな事態に巻き込まれてしまうのかと、現代の犯罪の裏側を法律事務所で速記者として勤めた宮部様の経験から知りえた犯罪の実情がうかがえます。

 個人的には、終の棲家を探して、中古住宅でもと考えていたのですが、昨今の恐ろしい押し込み強盗の多さ、詐欺の多さを知るにつれ、自分の終の棲家は、マンションか、どうしようか、公営住宅は古すぎるし、、、少ない老後資産でいかに食いつなごうかと思案していたので、不動産がらみの犯罪は、知っておいて良かったです。

 教訓は、無理なローンは絶対組まない事不動産は、身の丈が一番って、事でしょう。出てくる人々が本当に実在しそうな、そしてなんでか貧乏くじ引いてしまう人が、本当、どこにでもいそうな良い人でした。最後は、胸が痛いですが、最後に良い人々に支えられた終わり方だったのが、宮部作品の中では、良い終わり方の部類にはいります。

 

 

 

 

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---  時代物の方が人情的にほっこりするので、やはり多く読んでました。

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