読書感想:宮部みゆき様 「ペテロの葬列」上下巻

ペテロの葬列

 時代設定は少し古いですが、ねずみ講や電話詐欺など、これからも陥る可能性のある罠の仕組みを知っておいて損は絶対ありません。

 現代に設定が変わると、説明書きが長くなるのである。それゆえに、物語の純度、ストリーとして少し悠長になります。金土日で読み切れる量ではあります。ただし、通勤電車の中では、多分、主要な登場人物以外だと、これ誰だった? 人物相関図が必要になります。昔はこんな事なかったのに、これが老化だと改めて実感しました。

 このねずみ講的、友達を誘って何か売りつけ売上報酬の分け前をもらう詐欺というのが流行った時を設定にしています。似たような名前の会社の事件があったようなかすかな記憶があります。

 「悪は伝染する」

 今でいうと、ルフィの電話詐欺から、お年寄り自宅に侵入して暴行後暗証番号を聞き出し殺害する恐ろしい事件がありました。口先だけで人の心理を微妙にあやつる手法、それが口伝される蜜な人間関係が描かれます。実行犯は、ただの使い捨てSNSで簡単に申し込める一日バイトでした。やっとフィリッピンの電話詐欺一味が捕まったので、もう、終わりになるかとほっとしたのも、つかのま。この間、カンボジアを拠点に似たような一味が見つかりました。まさしく本当に、

 「悪は伝染する」

www3.nhk.or.jp

 善良な市民が犯罪に向かってしまう経過も実は描かれていますので、それはやはり、一つのテーマをじっくり描く小説でしか味わえない過程になります。これは、現代でも誰が加害者、被害者に落ちても不思議でないからくりなので、一読いただけると、ニュース聞いているだけではわからない多面な犯罪の経緯が理解できると思います。そういう意味では、大学生や会社の長い休み等、時間がある時にお勧めする読書です。

 

 そして、財閥のお嬢さま菜穂子様のまたまた、やってくれました。

 なんで、あなたがそうなるの~?

 「赤い自転車」の比喩が、入り婿の杉村三郎の心情を映しています。冒頭出てくる「赤い自転車」を読み過ごさないで、前後の文章をじっくり読んでください。私は読み飛ばして確かに、矛盾した記憶が心情を映していたかと、後半、わかりました。。。

 こういう、いろんな仕掛けが組まれているから、やはり宮部みゆき様の作品は、面白い。

 

 人物相関図が見つからなくて、テレビドラマのが見つかりました。ただし、役者さんが。あ~~懐かしい。え、若いと、違う印象が生まれてしまいました。。。

相関図│TBSテレビ:月曜ミステリーシアター 『ペテロの葬列』

 

 

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---  時代物の方が人情的にほっこりするので、やはり多く読んでました。

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