読書感想:宮部みゆき様 「おまえさん」上下

いや、もう、眠れません。ついでに土日休みでは読み切れません。

 連休3日で睡眠不足解消可能な時間がないと、登場人物が多すぎて、何が誰で、何がどうしたのか、一気読みしないとわからなくなります。

 メインの殺人以外にも、絡む。絡む。そっちの方が面白くて、ページを飛ばしたくなるほど、江戸市中の人情が絡みあいます。たまたま、積読の上から読み、シリーズ物で、後ろのシリーズから読んでしまった事を後悔しました。

 『ぼんくら』『日暮らし』に続くシリーズ新作を、先に読んでしまったわけです。

 ついでに、登場人物が多いので、ネットで、相関図と検索して、手元に参照できるようにしてからは、随分と筋がわかりやすく読めるようになりました。ハードカーバーか特集号で、相関図をおまけでつけたらしいのですが、文庫本にもつけて欲しいです。ぐっちゃぐっちゃで、???です。

 おそらく3シリーズ目なので、固定ファンがついていて、宮部様の作り出す世界を待ち望み、登場人物のその後を楽しみにしていたファンのために、あれから、どうした!!ってのを入れてしまったら、こんなになりましたって、パターンでしょうか。読むなら、先の紹介通り、「ぼんくら」から初めるべきでした。

 内容は安定の宮部みゆき様得意の人情もの捕り物で、薬を作りだす秘密にまつわる、数十年にわたる人間の機微がからみあうお話です。エリート青年の失恋と、お家を守るための次男、三男の居場所のない不安定な人生等、今では考えられない格差もあります。

 痒み止めの新薬「王疹膏(おうしんこう)」を売り出していた瓶屋の主人、新兵衛が斬り殺された。本所深川の同心・平四郎は、将来を嘱望される同心の信之輔と調べに乗り出す。検分にやってきた八丁堀の変わり者“ご隠居”源右衛門はその斬り口が少し前に見つかった身元不明の亡骸と同じだと断言する。両者に通じる因縁とは。

『おまえさん(上)』(宮部 みゆき):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部

 何といっても、江戸市中の捕り物の良い所は、江戸の人々の人情が理解の範囲内にあるって事です。倒れた人には近所の人が何くれと世話を焼きます。心配り熱い。現代の隣に住む人を疑って、近寄らないようにするとか、そういう不気味さがありません。ま、といっても、問答無用の試し切りとか、医術も薬もお金もないから、ただ死んでいくのを見ていくしかないとか、そんな悲惨さはありますけど。

 それでも、おばちゃんの心の中の町に住むっていうのは、この位の節度と思いやりと交流があるのが良いです。理想で、多分、現在のご近所さんだと、隣がどんな人だかも知らないし、突然、親切にされたら、怖くて鍵開けられないけど。

 現実に疲れて、どっぷり、江戸市中シリーズにつかりたい3連休以上の休みに読むにはとても良い作品です。人物が入り組んでいるだけに集中力が必要な分、会社の嫌な事は意識外におかざる得ません。

 

 

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---  時代物の方が人情的にほっこりするので、やはり多く読んでました。

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