読書感想:「コンビニ人間」村田沙耶香 著

  さて、BBC で今年最も面白かった作家として紹介記事があったので、驚きまして慌てて読みました。正直な感想、おばちゃんには、わからない。

 人物描写として、自分の妹の子が泣き止まないのを止めるのは簡単だとナイフを見ていた。とさらりと一行。そ、そうか、そういう人間の形をして、心がそう動いてしまう人の話です。コンビニのキャッシャならマニュアル通りに作業すれば良いので、すごく楽に生きれる。そこまではわかる。ところが、適応しがたい質問が多くなり、30代で未婚っていけない事なのかとマニュアルに書いてないから対応に戸惑っている時に、白羽という、実際にいたら絶対関わりになってはいけない男に出会う。十年先には必ずや警察のご厄介の常連さんになる以外はなさそうなダメ男と疑似結婚。しかし、その男なりの世知はあるのですよ。しかし、無職で働かず、ふろ場に隠れて生きる。 そこで、おばちゃんにはもう気持ちが悪くて読めない。そんな男、追い出せ。気持ちが悪い。 

 最後ですが、私に言わせれば、どんな感性で恵子が生きているにしても、白羽に捨てられるのは納得いかないですね。お前なんて人間じゃないは、こちとらのセリフでございますと、横っ面をはったいてやれば良いのに、おばちゃんは憤慨します。主人公は違うのですね。そこが、おばちゃんにはわからない。

 

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

 

 

 ところが、すごい高評価を世界では受けているのです。

 芥川賞受賞時の各選考委員のコメントを読むと、その作家さんの感性が伝わってきます。尊敬する宮本輝様のコメントを読んで初めて、そうか、優れた作品なのだと思いました。

prizesworld.com

下記のJapan Times では、やはり日本の事がわかっている記者さんが書いているので、日本人の仕事への貢献という生き方を理解した表現があります。また、主人公の恵子の生きづらさに共感したような文章もありました。

www.japantimes.co.jp

So far, so common, but Keiko’s problems run deeper. She feels removed from society, struggling since childhood to be like others and play the part of “an ordinary person” — whom, in the end, she considers a fictitious creature. Social pressure in Japan remains strong, but, as the novel shows, there may be shifts in the notion of how women — and men — should actually live.

“Some people feel similar to Keiko,” says Murata. “A lot of my readers have said they are losing the feeling of what is ‘normal’ in society.”

 

 下記の書評を書いた人は、本読まずに書いたか、本心は私と一緒で”わからない”派だろうと思います。主人公の「コンビニ人間」に生まれる前の恵子の社会への不適合に対する生きづらさは、just as non-conformistだけです。字数が限られていたのせいかもしれません。簡単なあらすじと、結婚という社会的な "social pressure/norm"( 周りが思う常識)で締め付けられていく状況だけを紹介しています。あ、それとも、このような人と違う感性、結婚するも未婚も、すでに認められるべきだという、多様性への理解は文章にする程でもなく、一言で共有されえる国なのでしょうか。日本遅れてるね~~。

しかも恵子が his ですね。前でman と書いているので、単純な文法チェックだと見逃しますね。このような感性がちょっと違う人は、女性より男性の方が多いだろうと、ついhisって書いちゃったのかしら。これは私の偏見でしょうかね。

pen-online.com

In Convenience Store Woman, when a young man, in his thirties and just as non-conformist as Keiko, gets a job at the convenience store, the heroine’s future suddenly seems brighter.

 

 このように海外で広く読まれるようになる作品もすこしずつ読み、今の時代の感性も吸収していかないと、おばちゃん、本当にもう世の中で使い物にならなくなります。。。なんせ、コロナde Stay home も、11か月目ですから。やバイデン。

 以外と書評も読み比べると面白いと今日初めて知りました。

  

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