読書感想:宮部みゆき様「悲嘆の門」上中下巻

 大学生が先輩にスカウトされ、バイトとしてサイバーパトロールの仕事をする事になった。インターネット上で犯罪に結びつくような活動を早期に見つけ出し、関係各位に通報する仕事だ。殺人、いじめ、詐欺、請負、愉快犯、模倣犯など、インターネット上には、日常で顔を合わせる人々が、思ってもみない内面を吐露する所。

 そこで、主人公は、同僚が行方不明になった事から、ある化け物の存在を知ってしまう。人の悪意をエネルギーにして、ある闇の世界に落ちた肉親を探し出そうとする化け物だ。何度も関わり合いになるなと忠告されたのに、大学生は、どんどん、化け物に近づいていってしまう。そして、最後、、、「すまない」繰り返す化け物の真の目的を知る事になる。「後悔するぞ」

  現実の犯罪と、想像上の化け物が描くのは、この世で実際に起こる犯罪の描写である。それは、本当にあんな普通の人が殺人なんてと、我々の日常では良く聞く、だがあまりに悲惨な話でもある。宮部様の本は、いつものようにニュースで聞く現実に起こりうる事件を題材にしている。

  正直、この本は、ファンタジーな部分が長すぎて、おばちゃんには読後感は良くないのである。現実なら、現実だけで、もっと警察と連携して、通報するなり、また、お前か?なんでお前ばかり犯人がつきとめられる?超能力か?なんて、落としどころの方が、もっと、読みやすかったのではないかと、内容的には???なのである。 

 

 それよりも、今、この本を読む事になった偶然に、もっと意味があるのかと思っている。

 

 この世には、本当に邪悪な黒い生き物が、獲物が穴におちるのを待っている。インターネットで顔が見えない世界はなおさらだ。

 

 偶然、私もYouTubeでの低品質な広告をチェックする仕事を長時間やり過ぎて、精神が悲鳴を上げて、どうやら、弱い私は、全く、どうでも良いと逃げてしまい、スコアがぶれていると会社からバンされてしまった。

 もう一度、テストを受けろという意味らしいが、あまりに賃金が安いので、シール貼りのバイトでも応募しようか、でも、どうせ、下世話な人達とは、私は合わないで、仕事続かないだろう、はて、さて、どうしたものかと、テストを受ける気にもならずに、積読していた本を読みだしたら、インターネット上の悪事を早期に見つけるバイトにつく青年の話だった。

 

 私は今まで、Googleの無料のAdBblock Plusだけでも、随分と邪悪なCMは見れないようにしていただいていたのか、私は、今まで知らなかった情報に一度に集中的に長時間さらされてしまったために、寝不足から、感情が摩耗して、疲労している事に気が付かなったらしい。

 本を読みながら、このYouTubeの詐欺商法を詐欺ですと報告する今のバイトだけでも、世の中のためにはなっているに違いないと思うようになった。

 賃金は安いが、世の中のためになる仕事であると、この本を読んで、改めて、意義を感じた。ぐらぐらせずに、3分間という短時間で正確に、邪悪な物には邪悪であると、NO!!を言えるか? 

 この3分間という短時間というのも癖物である。日本人は、大丈夫じゃないですかね?なんて、お茶を濁す訓練は受けてきたが、NO!!と言い切る訓練は、受けてきてない民族だ。短時間に何度も繰り返されると、段々、OKじゃないですか?に流されてしまうのは、私の精神が脆弱だからだろう。。。

 

 もう一度、今度は、しっかりと足を踏ん張って、流されないように、挑戦したら良い。多分、これは、偶然を装って、長い間数年も読まずに積んでいただけのこの本を、今、読むべき時に読んでいるに違いないのだ。 

 ほんのささやかな、おばちゃんのNO!!!が、善良な判断力もおぼつかない若い女の子が、HSPさん専門のカウンセラーで仕事を見つけましょう!!やら、100円で半年無料でダイエットできる特別キャンペーンなんて、詐欺広告に騙される子が一人でも減るなら、家でゲームして時間つぶしている位の短時間なら、正気を取り戻して、気合いれてバイトしなさいよ!!!

 表紙のビルの上からにらみつけるガーゴイルに、監視されているような気分で、NO!!はNO!!と言いなさいって、喝言われているようなタイミングの本でした。

  大学生にもできる仕事が、アラカンのおばちゃんには耐えられないのだ。

 

 

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---  時代物の方が人情的にほっこりするので、やはり多く読んでました。

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