翻訳修行:UoPeople: Public Health 1 残酷な現実

 インターネット大学は世界中から誰でも参加できる大学です。ですから、後進国の学生が評価し違うと感じる事と、衰退国とは言え今の日本で生きてきた私とでは感覚が違うというのは、当然の事です。

 一人だけ、どうやってReportの評価をしてあげたら良いのか、いつも言葉を考えた学生がいました。

 Weekly DiscussionというReportは、学生が、学生の書いた物にコメントをいれます。国が違えば、食べ物にも事欠き飲み水の取得に苦労する国の学生の次に、ダイエットがどれほど苦しいか、失敗続きだと贅沢きわまりない学生のReportと、残酷な事実が明白になります。

 生まれた国、自分では選べない偶然生まれた国で、全く逆なReportになります。

 

そして、時節がら、いらっしゃいました。

 ウクライナから参加した若そうな男性でした。写真で見る限りは健康そうな20代後半か、30代の方でした。どうして、勉強できるような悠長な状況にいられるのかと、思いながら、それでも毎週、彼が無事にReport提出できているのか、名前を探します。かける言葉もなくてコメントも書けないのに、毎週、彼が提出が遅れると心配になり、名前が出ていると、ああ~~生きててくれたと、ニュースの直後だったりすると涙がでそうでした。

 

 同情するなら、金をくれ!!

 どころの修羅場ではなく、ミサイルやドローンが降ってくる空の下からも、彼は毎週、Reportを提出していました。戦場の国境に近い地方と、ボーランド側では多少、余裕が違うのだろうと想像もしました。でも、本人には聞けません。

 彼も淡々と、課題に対してReportを提出していたので、こちらも一言もふれず、淡々とコメントを残しました。悩んだのは、末尾です。Good Luckは、幸運に恵まれ守ってくださるようにと、どんな宗教の人かもわからないので失礼になるだろうか。何も言わないのも、あんな状況の人に、あまりに冷淡じゃないか。悩みました。

ただ、どうしても、最後にPlease keep on studyingと入れてしまいました。

 

 あの状況下で、水の取得が容易な国の寿命や、医療を受けやすく栄養のバランスが取れる食事を得られる環境に生きる人々と、そうでない人々の寿命の短さ比較検討なんて、あまりに残酷すぎませんか。この冬はストーブさえつけれない、水もない国の若者です。

 

 言葉なんて、何もかけられないです。

 

 先生も同じ気持ちだったに違いありません。最後のReportに、

 NEVER Stop learning

 と、書いてくれました。

 彼が生き延びてくれたら、きっと将来、復興のために、栄養や健康関連施設で人々のWell-beingに貢献する人になるだろうと思います。

 この授業は、生活に根ざして、そして世界の多様な状況を教えてくれます。さらには学生が多様なので、悲惨な現実が本当の現実だと実感します。とても有意義な授業でした。

 

 一日も早く、侵略が終わり、復興の時が来るように、祈るばかりです。

 

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